2013年2月2日土曜日

僕たちは天使じゃない

生まれたばかりの仔豚は、約1ヶ月お母さんのおっぱいを飲んで育ち、その後離乳、2ヶ月たったところで、生まれたときから入っていた分娩豚舎から、育成豚舎に移ります。
公園では、お母さんが同じ豚を同じスペースに入れて飼います。
大体6頭から8頭が一緒です。
ブイブイ寄ってきます。















育成豚舎では、狭いながらも楽しい我が家。
一緒に食べ、一緒に眠り、肩を寄せ合い、暮らしています。
ヤギのように角突き合わせてけんかをしたりはしません。
のどかな風景に見えますが















でも、尻尾を齧られる仔が出ると大変です。
豚たちは、ストレスで他の豚の尻尾を齧るといわれますが、イライラして誰かれ無く齧りあうというわけではありません。

ある一頭の尻尾が齧られて、血が出ます。
そのとき、出血がひどいとその一頭が狙われます。

飼育員は、血の匂い、血の味が好きなんだろうかと首を傾げますが、とにかく、一旦出血するとそこを他の豚たちが執拗に齧りに来ます。
狭い場所に何頭か一緒なので、こちらを向けば別の豚が後ろから咬むという具合で、避けようがありません。

今回発見した仔は、咬まれた尻尾がはれて充血していました。
こうなると、血の匂いに惹かれてか、尻尾がなくなるまで齧られたり、傷口からばい菌が入って体全体に回りひどい病気を併発することもあります。

もう、これは、悪くなる一方だろうという飼育リーダーの決断で、空いている部屋に、この仔を隔離することにしました。
耳は、注射で血が出ただけで、咬まれていません















回復しても、部屋に戻すと今度は新参者として攻撃されるので、一旦隔離すると、もうこの先ずっと一緒に出来なくなります。
餌やりも部屋の掃除も、一頭の部屋も手間はそんなに変わりません。
一部屋増えれば、飼育員の一日の仕事量は増えます。
でも、よってたかって尻尾をかじられているのを見るのはこちらもつらい。
仕事は増えても、隔離できるものなら離して、治療しようという、飼育員の親心。
さあ引越し















普段は可愛く、仲良い、仔豚ちゃんなんですが。
引越し完了 腫れた尻尾が痛々しい