2014年9月4日木曜日

仔豚の引越し

豚が妊娠すると、分娩豚舎に移されます。
そこで出産し、生まれた赤ん坊は1ヶ月お母さんのお乳をもらって育ちます。
1ヶ月たつと、離乳、お母さんは別の豚舎に引っ越します。
一方、赤ちゃん豚は、離乳して1ヶ月は離乳食を食べて育ち、普通のえさが食べられるようになると、肥育豚舎に引越します。
軽トラで引越し組

















9月3日水曜日は、7月2日(7/24)生まれの仔豚10頭を分娩豚舎から育成豚舎に引越しさせました。


生まれたときの体重が1.5kgくらいで、2ヶ月経過の現在は推定平均8kg。
元気で活発ですが、まだまだ赤ん坊で、引越しのために捕まえるとか抱き上げるとかはわりと簡単。
分娩用のゲージに囲い込み、順番にカドッコに追い詰め、前足か後ろ足2本をつかんでしまえば多少暴れても抱き上げられます。
いつもは、抱いてる間じゅう、びぃやぁぁあーと鳴き通しの仔が多いのですが、今日の仔たちは大人しく、抱かれてしまえば、わりと静かに収まってくれるのでとても楽。
陶器の人形?














ただし、捕まえるまでに手こずると、興奮して、お尻がゆるくなるのかウンコをしちゃいます。
それが服やら腕やらに付きますが、それはしょうがない。
まぁ、ウンコと言っても、まだ生後2ヶ月、量も少なく匂いも薄い、色も灰色で泥みたいなもんで、洗えば落ちます。
ウンコなんて誰も気にしません。

育成豚舎に移したら、餌がちゃんと食べられるか、水はうまく飲めるかが飼育員の心配です。
皆で注目
















餌を食べさせる給餌器のえさの出どころが少し高めで、引っ越したばかりの赤ちゃん豚の口へ届くのか微妙。
そこで、給餌器だけでちゃんと食べられるか、別途、餌をやらないといけないのかを確認します。
皆で見たところ、少し高めではありますが、不便さは旺盛な食欲がカバーしているようで、無理な体勢でもなんとか顔を突っこんでよく食べます。
水は、給水器を使います。
豚専用の給水器で、鼻でレバーを押すと水が受け皿に溜まる仕組み。
これが使えるかがポイントです。
こちらは、何頭かが、予め水を張った受け皿ならば、鼻先を突っ込んでごちゃごちゃ水を飲むうち、誰かの鼻がレバーを押して水は出るので、仕組みを理解するまえに、飲めるようになりました。
とりあえず誰かが飲んでるところにもぐりこめば、水は飲めるので、多分、なんで水が出てきているのか、一生知らないで終る豚もいると思います。

覚えたか?














しかし、一方、もう少し大きい豚たちの部屋では、受け皿の水を掻き出して、それからレバーを押して水をためている豚を見ました。
鼻でピャッ、ピャッと水を掻い出し、行儀の悪いやつが汚した水を入れ替えたところでおもむろに水をジャーと注ぎ足す。
他の職員に話しても、あまり本気にしてくれませんが、錯覚や誤解ではありません、目の前で起こった本当のことです。

可哀そうなのは、そうやってきれいにした水を一口飲んだところで、今まで知らん顔だった他の豚が、ナンダナンダと殺到することです。
餌箱やオガコに突っこんだ鼻を受け皿に突っこむので水は減っちゃうは、汚れるは、地道な努力が水の泡。

でも、他の豚が去ったあと、その仔だけは給水器を離れず、また水を掻い出し始めました。
確かに見ました。
ホントの話。

写真に撮っとけば良かった。



岐阜市畜産センター公園 奥村