2014年5月15日木曜日

放牧開始

放牧場の牧草が生え揃ってきたので、5月から動物たちが、放牧場に入れるようにしました。
みずみずしい牧草は、乾草よりもおいしいようで、みんなよく食べます。

でも、放牧直後は、誰かがおなかを壊します。

牧草は、冬の間やっている乾草よりおいしいくて、おまけに足元全部えさなので食べ放題。
だから、食べはじめの今頃、食いしん坊が、食べすぎておなかを壊すんだと思っていました。

しかし、うちの飼育リーダーの見解はちょっと違います。

草だけを食べて生きるというのは、なかなか大変で、繊維の多い草を体の栄養として十分活用するためには、消化器内の色々な微生物の助けを借りなければいけません。
ところが、消化を助ける微生物の種類か、比率か、そのあたりが、冬にやっていた乾草と夏に初めた生の牧草とでは違うので、えさを切り替えた当初、消化を助ける微生物がうまく働かず、そのためおなかを壊すのではないかとのことです。

ですから、うちの公園では、放牧前に少しづつ牧草をやってお腹を慣らし、本格的な放牧に備えます。

それでも、やっぱり誰かはおなかを壊します。

中でも馬は、反芻動物の牛やヤギ、ヒツジみたいに胃をいくつも持っているわけでなく、おまけに、体のわりに胃が小さいので、消化不良もおこしやすい。
そこで、お腹の調子も、ゆるくなるだけでなく、痛くなったり症状が重く出ます。

鯨飲馬食という言葉があり、馬には大食いのイメージを持っていましたが、先ほど申し上げたとおり、胃が小さいので、一度にたくさんは食べられません。
そのかわり、放牧された馬たちは、一日中、ずっと草を食べています。
馬食の意味は、一度にたくさん食べることではなく、ずっと食べ続けることかもしれません。
放牧されている木曽馬は、どのくらい長く、牧草を食べているかに注目して、観察していただくのも面白いと思います。

という訳で、今年おなかが痛くなった木曽馬は風恋でした。
風恋がおなかが痛いと訴えるわけではないですが、動かずじっとしゃがみこんでいるのを見れば、飼育員からは一目瞭然、ああこれは牧草を久しぶりに食べておなかを壊したとわかります。

動かないといっても、原因はわかっているので薬を使わず、安静にさせておくのですが、せっかくのご馳走を目の前に食べられないのはとてもかわいそうな気がします。

同情した飼育員が、しょんぼりしている風恋のところへ行って頭を撫でてやったら、ごろんとひっくり返ってお腹を見せます。
そこで、お腹をぐりぐりさすってやると、気持ちよさそう。
そうか、ここが痛いかなどと言いながらぐりぐりやっていたらブーッブーとおならを一発。
お腹の調子がよくなったようです。
ミルクを飲ませた赤ちゃんにゲップをさせるみたい。
結構世話が焼けますが、無事で何より。

岐阜市畜産センター公園 奥村

食べっ放しだとお腹をこわすので夕方は放牧しません














胃腸が丈夫でたくさんあるので、夜も食べ放題