2013年12月18日水曜日

赤ちゃんが生まれました。

12月16日午後11時頃、黒毛和牛の「かぐや」が仔を生みました。

「かぐや」にとって、2度目のお産です。
予定日は、先週12日、その日から飼育のリーダーが夜も様子を見に来ていました。
週末の14・15日には生まれるだろうと待っていましたが、生まれない。
出産直前には食欲がなくなるらしいのですが、そんな素振りもない。
「そうぞうにんしん?」なんて冗談も出だした16日、夜11時にリーダーが様子を見にきたら、あかちゃんを産んだところでした。
性別を確認しに仔牛に近寄ろうとしたら、かぐやが低い声でモウモウいいながら頭を下げ角を突き出して立ちはだかり、夜中に一人で近づくのはどうも危ない。
生まれてすぐですが、今度の子はすでにお母さんのお乳を咥えて吸っているのを確認できたので、性別確認などは、翌日、人手のあるときに持ち越しました。

最初の仔「学」はなかなかお乳を咥えようとせず、初乳を哺乳瓶にとって飲ませてみたり、お母さんのお乳のところへ引っ張っていったり、獣医さんも職員も、仔牛が自分からお乳を飲み始めるのをやきもきして待ちました。
今回、そこのところを心配していたので、お乳を飲むところを見られて、リーダーは一安心、家路に着きました。

2度目の出産と言うことで、かぐやの子育てが上手くなってきたから、お乳を飲み始めるのも早かったのかもしれません。
そして、お乳をすぐにやり始めたからか、母性の発揮の仕方が、初産のときより激しくなりました。

最初の仔の時は、牛舎の中で柵越しに赤ちゃんを覗き込むと、ガンを飛ばすみたいな感じで睨み、自分の体で我々から赤ちゃんを隠すと言うように神経質で防御的な行動をとっていたのですが、今回は、柵越しに赤ちゃんの写真に撮ろうと身を乗り出したら、モー・モーと低い声で唸りながら、頭を下げ、角を突き出し、のしのしこちらに迫って来るというとても攻撃的な態度を示しました。
柵と人との間にはエサやりのためのコンクリート飼槽があるので、柵の間から首を突っ込んで、角を突き立てられても危なくは無いのですが、その迫力に恐くなってカメラを後ろ手に後退りしました。

昨日までは、人懐っこく、餌がもらえると喜んで寄ってきたのに、一晩で豹変。
体側(身体検査)が大変だなとリーダーもちょっと心配していました。
頭を下げて突進中














お母さんの様子をよく見ていると、赤ちゃんが立っているときより、しゃがんでるときのほうが、人が近づくのを嫌がる。
赤ちゃんにカメラに向けると特に興奮する。
人とお母さんの間に赤ちゃんがいるのも嫌がるので、この状態で赤ちゃんにカメラを向ければ、唸りながら角を突きたてこっちへ突進してきます。
でも、赤ちゃんのいない側から近づく分には、お母さんの体を触りに行っても嫌がりません。
と言うようなところを朝のうちに見極めて、いざ体側。

赤ちゃんの反対側から直接、お母さんに近づき、素早く柵に係留、動けなくしてから体側に取り掛かりました。
赤ちゃんに飼育員が近づくとお母さんは、鼻面を押さえられて痛いだろうに結構暴れ、もどかしそうにモーモーと威嚇の声を上げます。
でも、赤ちゃんのほうは、ちっとも人を恐がりません。
生まれたときからもう、よろよろとですが歩けますが、人が近づいても逃げません。
体高、体長を測るときも大人しく、飼育員が抱き上げて一緒に体重計に乗って体重を量るときも暴れません。

前の「学」は、生まれたときから、人が触ろうとするとすっとその手を避ける人見知りだったのとは大変違う。
2回目の出産のせいか、オスメスの違いか、それとも、もって生まれた個性なのか、性格が前の仔とは明らかに違う気がします。

こうして動物の世話をしていると、牛とか馬とかの一括りのできない個性がよく分かり、可愛いと言う気持ちも増します。

お母さんのお乳に届くよう足が長く、
その割りに胴体はまだ短く寸詰まりな体型














ということで、今回の赤ちゃんは、メス 体重27kg 体長80cm 体高73cm 
学は34kgで生まれてきたので、それより小柄ですが、元気にお乳を吸い、おぼつかない足取りですがもうお母さんの後を付いて回る元気な仔。
すくすく育ってくれることを祈りつつ、大事に育ててまいります。
人にもよく馴れてくれそうなので、うちの人気者になってくれることも期待しております。





寒くてもお母さんが外にいれば付いて出てきます














親子がいるのは、牛舎の3つ並びの真ん中の房なので、北側からも南側からもすこし見辛いですが、北側の方が見る場所がすこし高いし、でっかいホルスタイン2頭越しより、ロバのわびすけ越しのほうが見やすいのでお勧めです。

畜産センター公園 奥村