2014年8月12日火曜日

夏休みの飼育体験

8月6日水曜日、7日木曜日の2日間職場体験を実施しました。
飼育体験は、当公園の恒例行事で、毎年夏休み期間に3回実施します。

今年は、7月30・31日、8月6・7日、8月20・21日の3回です。

7月の飼育体験も暑かったですが、台風が西に停滞している今回は、物凄く湿度が高く、その湿気がねっとりと暑く肌にまとわりついて、体にこもった熱を逃がさない、不快指数の高い2日間となりました。

小中学生は、我々より基本的には元気で丈夫、炎天下のグランドを走り回るような瞬発力はあると思います。
しかし、朝8時半から午後3時半までの長丁場、炎天下での外仕事という持久力は、まだ厳しい気がして、お迎えする我々は、仕事っぷりにハッパをかけるより、水分補給と休憩をこまめにとらせる、熱中症予防のほうに気持ちが行きます。

実際、二日間ともしっかり暑く、飼育体験の皆からも仕事中、暑い暑いと声は出ていました。
でも、そう言いながら、みな働く手は休めず、しっかり仕事をしてくれて、熱中症に負けず充実した二日間を過ごしてもらえました。
皆さんご苦労様でした。
持参の水筒でのどを潤しながら休憩中














と言うことで、飼育体験は、どんなことをするのか、この二回目を例に挙げ、紹介させていただきます。

両日とも午前中は、畜舎の掃除。
住むところを清潔に保つことは、家畜動物に限らず、動物を飼う為に一番大事な仕事。
そして、畜舎の場合の掃除と言えば、(何度も言いますが)糞を集めて捨てるのが一番の仕事。
糞が汚いなんて敬遠するようだと、飼育体験に来る甲斐が無い、と言っても過言ではない。

暑い中大変ですが、さすが飼育体験に申し込む方々は、そこのところは難なくクリアー。

一部、わっウンコ、みたいなノリもありましたが、大量のウンコに囲まれる非日常にウンコ、オシッコに対する興奮が口をついて出てしまうのは、高学年とは言え、小学校男子ならばしょうがないとおもいます。
楽しそうだったもん。

それに、仕事に手は抜いていませんでした。
ポニーの糞掃除













仕上げの掃き掃除
















と言うわけで、皆さんウサギの糞も、ヤギの糞も、ポニーの糞も、ためらい無く、箒で集め箕に乗せ、グイッと両手で持ってスタスタ、軽トラックに積み込みます。
これらコロコロ系のよりはもう少し難易度が高い、つまり粘度の高い、もう少し具体的に言うとベチャッと床に張り付いた、黒っぽくて大量の牛の糞もなんのためらい無く(一部ウンコに興奮しながらも)スコップですくい上げ、おが屑と一緒に片付けてくれました。



コロコロ系の糞














また、エサやり作業では、結構大きな豚たちの集団(5,6頭かな)の中に入りますが、ためらいう子はいませんでした。
その豚たちに群がられて、長靴を齧られても平気と言うかむしろ楽しそう。
長靴を齧られる感触が悪く無いようで、餌をやり終わってからも、みんなで(小学校男子筆頭に)、囲いの柵の格子から長靴の先だけ出して豚たちにカジカジさせて、キャッキャ言ってました。
何でも楽しい年頃













カプッ(ゴムホースもすき)














そのあとの、そこそこデカイ木曽馬(300~400kgくらいかな)や、とってもデッカイホルスタイン(850kgありました)にも腰が引けず、堂々と渡り合っておりました。(もう少し具体的に言うと、ぜんぜん怖がらず、同じ部屋に入って掃除が出来たという事)

こんな具合で、2日間の大半は、我々が普段やっている家畜の世話をしてもらいましたが、仕事だけで帰ってもらっては申し訳ない、出来れば、飼育体験を夏休み一番の楽しい思い出にしてもらいたいと、餌箱に入れる飼料ではなく、ニンジンなんかのおやつ的なものを手渡しでやりながら動物たちと遊ぶ。
まではいきませんが交流を図ってもらいました。

そこで、2日目午後の掃除のあとは、生後1ヶ月ちょっとの仔豚とヤギの親子にえさやり。

うちの動物のみなさんは、普段手渡しで餌をもらうことがあまり無いので、ニンジンを見せたら駆け寄ってくる、と言うわけには行きません。
こちらから手を出すとさっと体をかわす、捕まえられたりしないかとビクビクドキドキの、キホン臆病な性格。
こっちからずんずん近寄ったりするとピャーと逃げ出してしまいます。

でも餌をひらひらさせると、この人間、なに持ってんだろう、みたいな感じで寄ってきますから、好奇心は強い。
野生の動物は、逃げ出したら向こうから近寄ってくることは多分ないでしょうから、野生と比べ、うちの動物たちは、我々に対し、そうひどいことをされるわけでは無いというような安心感があって(食べちゃうんだけどね)人間嫌いでは無いとおもいます。

手渡しで餌をやるにはまず根気、じっと待たないといけません。
餌で誘うと、こちらの手が彼らの体に触れられる距離からほんの少し外側で、みんなピタッと止まります。
ここで手を出すと逃げ出すので、ここからが勝負。
ぴたっと止まって考え始め(ケッコウ長考)、長い間のあと、ジリジリ近寄り始めるのを、ニンジンを手に待ちます。
腕を伸ばし、ニンジンを持った手を差し出して根気よく待っている感じは、線香花火をつまんだ指先が揺れて、大きくなっていく火の玉が落ちてしまわないよう、腕を固め息を凝らしているのに似てるかな。

そうして待つこと、どうでしょう、黙ってこらえていると時間はとても長く感じられますが、それでも1分や2分では、まだまだ、仔豚なんかは行きつ戻りつするところを待つこと5分弱でちょろっと餌に鼻面を寄せてきて。
また引き下がってもう5分、ホントに恐る恐る唇を餌に差し出した時が、ジーッと鳴り出した火玉の最初の火花、さあこっから来るぞ。
やっと、パックっと咥えてむしゃむしゃしてくれるとちょっとした達成感を味わえます。
餌付け成功














みんな根気が良くて、じっと待って餌をやることが出来ました。

一日、二日では時間が足りませんが、手渡しで餌をやって、その次ちょっと体に触れて、その次は体を撫でて、とやっていくと動物が馴れて、人に懐いてきます。
動物をなつかせるための最初の一歩の餌付けをみんなもクリアーです。

毎回そうなんですが、飼育体験に来てくれる子で、本気で、動物たちの糞が汚いとか嫌だと言う子はいません。
まさかウンコを触るのがうれしい、なんてことは、(多分、ほぼ)ありませんが、藁の掃除も、糞掃除も分け隔てなくやってくれてます。
楽しい夏休み、わざわざ飼育体験をしようと来てくれる子は、大きな動物の大きな糞にも動じない、筋金入りの動物好きだと思います。
そういう皆さんが、この飼育体験で、もっと動物を好きになってもらえるような2日間になるようにと思いながら毎年皆さんをお迎えしています。

待ってるよ。

岐阜市畜産センター公園 奥村