2013年10月23日水曜日

私の話を聞けブー

台風からこっち急に涼しくなって、秋本来の気候になりました。
昼間はとても過ごしやすいですが、朝晩は寒いくらい。

東の放牧豚舎の新参の雌ブタが、ひと月くらいずっと古参のねいさんに意地悪されて小屋に入れてもらえず、一緒にエサも食べさせてもらえません。
それで、放牧場の真ん中のナンキンハゼの木の下でしょんぼりしています。

繁殖用のブタなので、オスのいる放牧豚舎に入り子供を産むのが仕事。
それで無ければ、彼女を隔離するか、古参の意地悪ねいさんを隔離するかしなければなりません。
しかし、隔離して子供も産まないまま飼い続けることは出来ないのが経済動物の宿命です。
何とか折り合いをつけて、一緒に暮らしていけるようになって欲しいというのが飼育員一同の願い。

でも、まったく小屋に入れてもらえず、えさ箱に近寄ることさえ出来ません。
そこで新参にエサをやるときは、1頭だけ小屋に入れて、鍵をかけ、他のブタを外に締め出しておかなければいけません。
そうやってえさの手当てはするものの、夜、小屋に入れてもらえず、ナンキンハゼの下で一夜を明かしているようでした。

試練のブー














意地悪するのは、古参のピンコねいさんだけらしいのですが、雄のたけちゃんが追っかけまわすのも鬱陶しそうでかわいそう。
たけちゃんの仕事なので言い寄って悪いわけではないけど、異性のアプローチは始めての箱入り娘なんだから、もう少しスマートに出来ないものか。
東の放牧場にはあと2頭雌豚がいますが、こちらはそんなにいじめたりはしないそうです。
1頭は現在出産して分娩豚舎に移動中でもう1頭はたけちゃんを翻弄する小悪魔みたいな雌ブタ。
彼女がしたたかで、たけちゃんには良い顔をして、影で新人をいじめるようなこではないかと心配しましたが、このこは以外と姉御肌で、新人を庇う(見たいな感じがするらしい)。
というわけで、鬱陶しいたけちゃんのかわし方は姉御に教えてもらってじきに慣れるでしょうから、意地悪ピンちゃん(仮名)をどう攻略するか。

新参のお嬢ちゃんは、最初のころしょんぼりとナンキンハゼの下でたたずむばかりでしたが、そのうち果敢に小屋に入ろうとし始めました。
そのたびピンちゃん(仮名)に襲われて逃げ出すの繰り返しでしたが、めげなかった。

以前は、すべてをあきらめた感じでナンキンハゼの下から動かなかったのですが、この間放牧場を通ったら、こっちへ寄ってきてブブブィ、ブッ、ブッ、ブィーンと訴えかけてきます。
あまりの熱心さに、こちらもちょっと真剣に目を見て話を聞いていると、彼女の訴えは更に激しくなり、身振り手振りも(手、ではないか)加わり、ブイブイ、ブブブィと隔てる柵ももどかしくにじり寄る。
話に夢中で、ついに電気柵に当たっちゃった。
彼女もこちらの目を見て真剣に話していたもんですから、真正面から電柵と接触。
デリケートそうな鼻の満々中にビリッ、プギャーと絶叫。
あまり興奮させるのも悪いと思い、わかったわかったとその場を辞して放牧場沿いに歩き始めると、電柵の衝撃にめげず、ブブブイのブイ、ちゃんと話を聞いてくれ、ブーと小走りで追いかけてきます。

これだけ文句を言う気力があるなら大丈夫と思いまして、飼育員に様子を聞くと、最近は果敢に小屋にアタックを試み、自分のえさの確保も出来つつあるとのこと。
そして、昨日、寒くなってきたけど新参のこはどうでしょうと聞いたら、もう小屋で一緒にえさを食べられるし、夜も小屋で寝ていると教えられました。
もう仲良し














めでたしめでたし。
ピンちゃんのためにも良かった。