ヒツジが14頭とヤギが13頭で計27頭。
注射の順番を並んで待っててくれないので、こちらからみんなを集めに行きます。
具体的な計画は、追い立て、包囲して、隅に追い込み、押さえ込んでブスリです。
獣医の先生と飼育員6名総出の体力勝負。
ヤギもヒツジも数頭ずつ、何部屋かに分かれて入っています。
最初に注射する予定の部屋のヤギは、自分になれていると言う自負がヤギ、ヒツジ担当の職員にありまして、出来ればこの子らは一人で確保しようと、先に部屋に乗り込みました。
ところが、慎重に近づき、手を伸ばし、いけるかなと思ったところへ、そこら辺の思惑に気付かないほかの職員が、ドヤドヤ入ってしまいました。
そしたら、ヤギたちが、すかさず異変を察知、放牧場へ逃走。
放牧場の深い牧草に埋もれたヤギをさてどうして小屋へ戻すか、最初から計画通りに進みません。
どうしたものか |
うちの動物たちは、みんなとても臆病で、いつもと違う雰囲気に敏感です。
人がいつもより多いとか、白衣を着た先生がいるとかで警戒心が増し、一旦警戒させてしまうと、もう我々の手の届く範囲には寄り付きません。
かといって、放牧場のはるか向こうに走り去り戻ってこない、わけでもない。
どうした何だと野次馬っぽく我々を観察しつつ、つかず離れず、微妙な距離には寄ってくる。
そこを、腕を広げてそろりそろりと追い立てると、ノタノタと部屋の隅に集まるので、よしここだと手を伸ばすと、いきなり急発進で、人垣をズバッと切り裂き中央突破。
ヒツジなんか、羊毛をつかめば簡単に確保できると思われそうですが、みっちりつまった毛はつかもうにもそう簡単に指が入っていかない。
おまけにあの毛はとってもオイリーで滑ります。
胴体をぐっとタックルするにはモコモコし過ぎて手が回りません。
初心者は、脇をすり抜けるヒツジに飛び掛り、突進力に空を切って糞の散らかったコンクリートの床に転がったりします。
ではどうやってこの丸っこいモコモコ君たちを確保するか。
ヒツジはとにかく群れたがる、逃げるときもすぐに固まって押し合いへし合いしながら動きます。
そこで、集団を崩さないよう追い立てて、一網打尽に部屋の隅へ追い詰めます。
今回一網打尽には出来ませんでしたが、何とか4頭を固まったまま角の壁に飼育員二人で押し込めました。
多少ぎゅっとやっても相手はモコモコなんでダメージはありません。
固めて動けなくすると、観念するのか、暴れて跳んだり跳ねたりしなくなり、わりと楽に抑えておけます。
ヒツジは警戒心より群れたいという欲求が勝るようで、押さえ込まれず逃げ出した1頭がひとりじゃ不安で、みんなの中に入ろうと、人とヒツジの密集地に突進、押さえ込んでる職員の又の間からニュッと顔を出してきました。
これは、飛んで火にいる夏の虫、ぎゅっと太ももで挟み込み、いらっしゃいませ順番が来るまで暫らくお待ちくださいとなりました。
一網打尽 |
親子2組、4頭のヤギも逃げるので、小さな放牧場を追いかけます。
何回も逃げらて、走り回っているうちに、仔ヤギが、前を走るヤギに乗っかり、覆い被さりと、逃走中にあるまじき行動を始めました。
鬼ごっこの途中、興奮してきて、キャーキャーいいながら走り回っている幼稚園の子みたい。
もう逃げてると言うより、はしゃいでるという感じで呆れてしまいます。
人が近寄ってきたら、とりあえず逃げるという態度を改めてもらえればお互い楽に注射を終らせられるのにな。
この4頭には首輪がしてあり、ここにうまく指が引っかけ、動きを止めてしまえばもうじたばたはしなくなります。
その点は楽。
じっとしてる様子が、追っかけるから逃げるんじゃんといってるよう。
お母さんを何とか1頭確保すると、子供たちは、走るのを止め、寄って来ます。
お母さんが捕まっちゃったみたいな悲壮な感じじゃなくて、なにやってんだ、次は何して遊ぶんだみたいな野次馬な顔。
よしここだと、首輪に指を引っ掛けましたが、しっかりつかめず逃げられる。
でもまた、のこのこやって来るので警戒心もどこまであるのやら。今度ははがっちりつかんでハイ注射。
つかまれば大人しい |
逃げ回っても、結局やってきてつかまってしまうあたりの素直さや人懐っこさは、ヤギって飼いやすいじゃんという気になります。
岐阜市畜産センター公園 奥村
前髪クネ男にもプスリ |
君にもちょっと用がある |